スマホをのぞき込む姿勢は首を痛める原因

●スマホをのぞき込む悪い姿勢

うつむくようにスマホを見る姿勢、頭を前に出してパソコンをのぞき込む姿勢。現代人が、ついとってしまうこうした習慣は、じつは大きな負担を首にかけています。
私たちは、約5キロの重さの頭を首だけで支えています。その重さは、頭の位置が前に出ると、首にとっては大きな重さに変わります。
例えば、ボウリングの玉を持ち、その腕をまっすぐ前に出したとしましょう。腕や肩に大きな重さを感じるはずです。これと同じことが、頭が前に出ているときの首にも言えるのです。
実際に、その重さを調べた研究があります。それによれば、頭が首の真上にきている姿勢のときは、首にかかる頭の重さは約4.5キロから5.4キロです。これは、もともと頭が持つ重さとほぼ同じです。しかし、首の角度を30分度くらいにして頭を前に出した姿勢では、首にかかる重さは一気の18キロに増加。さらに60度では、27キロとなり、本来の頭の重さの5~6倍が首にのしかかるというのです。
こうした負担を、日々首にかけ続けていれば、筋肉は緊張を強いられてコリを生じ、やがては頚椎の変形まで招くことになるでしょう。

●さらにストレートネックで負担が固定化

首・肩で悩んでいる人には、整形外科で「ストレートネック」といわれた人が少なくないと思います。ではストレートネックとは何でしょうか。
頚椎(首の骨)はやや前弯しているのが正常ですが、ストレートネックは、その湾曲(カーブ)がなくなってまっすぐになり、その状態で固定化してしまうことです。
頚椎がまっすぐになると、骨格の構造上、頭が前に出た形になります。すると、首には頭の重さより大きな負担がかかります。ストレートネックは、常に首へ大きな負担がかかった状態なのです。
ストレートネックは大きく2つに分けられます。1つは、「筋性のストレートネック」です。これは、スマホを見続けるなどの悪い姿勢を続けることで筋肉がこわばり、それによってストレートネックなる場合です。2つめは、「骨性のストレートネック」で、頚椎そのものが変形して起こるものです。例えば、頚椎がおしつぶされて変形したり、頚椎同士のすき間がせまくなったりして、全体がまっすぐなる場合です。筋性のストレートネックが長く続いた末に、椎骨や椎間板に影響が出ることで生じます。つまりストレートネックは、生まれつきの体質ではありません。

●スマホは目の高さにもって首の負担から守る

現代人の必需品であるスマホやタブレットなどの機器は、首を痛める大きな原因になっています。なぜなら、座っているときでも、立っているときでも無意識に操作していると、たいていはお腹や胸あたりの高さにもって見てしまうからです。すると、背中が丸くなってネコ背になり、頭が前に出ます。その分、首や肩には大きな負担がかかってしまいます。
その負担を減らすには、機器を高く持ち上げて可能な限り目の正面で見るのがよい方法です。ただし、その姿勢を続けていると機器をもっている腕が疲れてきます。片手で持てるスマホの場合なら、持った方のと逆の手で肘を支えると、腕がラクにできます。
重さのあるタブレット端末は、首も腕も疲れやすいので、首のケアの観点からいえば、なるべく机の上に置きながら使う方がよいでしょう。専用のスタンドなどが市販されていますので使用することをおすすめします。これもできるだけ目の高さに近づけて画面を見るようにしましょう。
なお、机がある環境でスマホを使う場合は、スマホを持った腕の肘を机につつき、画面を目の正面に固定して見るのがよい方法です。