自律神経について(3)
今回は、自律神経を整えるための日常生活について説明します。
その前に、あなたの自律神経の状態がわかる簡単なセルフチェックを紹介します。
現在の体調不良は、自律神経の乱れが原因かもしれません。
チェック項目がいくつ当てはまるかで、その危険度がわかります。
以下の項目をチェックしてみてください。
□自責の念にかられやすい(責任感6が強い)
□自分は完璧主義者
□几帳面な性格といわれる
□何事も順番通りにやらないと気が済まない
□風邪くらいで仕事や学校を休みたくない
□日中に眠くなることが多い
□下痢と便秘をよく繰り返す
□苦手な食材が5つ以上すぐ思い出せる
□外食することが多い
□お酒を飲んで記憶をなくすことが週に1回以上ある
10項目中いくつありましたか。
●3つ以内の場合…自律神経が乱れるサインが出ています
●4~6つの場合…不調があらわれているので注意が必要
●7つ以上の場合…医師の診察をうけましょう
主たる症状の専門医の診察を受け、何もなければ「自律神経失調症」の可能性があります。
<自律神経を整える運動について>
自律神経を整えるために、運動は欠かせません。運動の習慣がない人は、負担にならない程度に身体を動かすことから始めましょう。特別な運動はしなくても大丈夫です。
●まず身体を動かすことを習慣にする。
日常的に運動すると、自律神経の機能が向上
生活習慣病対策としての重要性が知られている運動ですが、自律神経のためにも習慣化しましょう。アクティブレストによる疲労回復効果もあります。メンタル面では、ストレス予防や解消につながります。そうした多様な効果によって、運動は自律神経の機能を高めるのです。
こういう「運動」は、激しいスポーツのことではありません。1つ手前のバス停で降りる、階段を使う、最寄りではないスーパーまで買い物に行くなど、そんな日常の生活を指します。
テレビなどの操作がリモコンとなり、スマホで買い物できるようになり、家で身体を動かす機会も大幅に減りました。あえて不便な生活をするのが自律神経のためにはいいのです。
●家事や仕事の合間にストレッチを行う
特に重要なのは足首、股関節、肩関節
ストレスや緊張を感じると、交感神経が活発に働き、血管は収縮します。逆にリラックスしているときは副交感神経が働き、血管は拡張します。交感神経が優位になりがちな現代社会、ストレッチで血流をよくして、自律神経のバランスを整えましょう。
運動に適した体をつくるという点でも、ストレッチは自律神経を助けます。年齢とともに関節が硬くなると、運動不足になりがちなので、ストレッチによって、関節可動域を広げることが大切です。
ストレッチは、全身どの部位についても有効ですが、重視したいのは、足首、股関節、肩関節です。足首、股関節の動きが良くなると、転倒しにくくなります。店頭によって大腿骨を骨折すると寝たきりになり、生活の質を著しく低下させることもあるので、足首、股関節のストレッチは欠かさないようにしましょう。また、下半身のストレッチは、効率よく血流を改善し、腰痛も予防します。
肩関節のストレッチは、血流の低下により引き起こされる、肩や首筋のコリを改善します。仕事や家事の合間にできるストレッチは大きなメリットです。デスクワークの人は、仕事の合間にこまめに行うと効果的です。
●スクワットを日課にする
筋力が鍛えられて転倒を予防できる
いつでもどこでもできるスクワットは、自律神経を整える効果が期待できます。スクワットによって血流が良くなり、交感神経と副交感神経のバランスが整います。筋力が鍛えられて、転倒予防にもつながるのでオススメの運動の1つです。
スクワットをすると、筋肉は一時的にダメージを受けますが、その際、筋肉を回復させる成長ホルモンが分泌されます。そのメリットは多々あり、まずは代謝が良くなること、次に、筋肉量が増えること。さらに肥りにくいカラダになることなど、スクワットを日課にするとさまざまな効果が実感できるようになります。
成長ホルモンの分泌量は10代後半がピークですが、高齢になっても分泌されます。つまり、スクワットは年齢にかかわらず有効なのです。また、筋力が向上して体力に自信がつくと、メンタル面でもプラスになります。
スクワットは、椅子やテーブルを支えにても一定の効果があります。これは筋肉が弱った高齢者や体力に自信のない人向けのスクワットです。筋肉に力が入っていることを意識することがポイントです。運動不足で真っ先に衰えるのは下半身です。なぜなら、人間の全筋肉の60~70%が下半身に集中しているからです。加齢による衰えも、上半身よりも下半身の筋肉の方が激しいこともわかっています。スクワットで下半身の筋肉の衰えを防ぎましょう。
●1:2深呼吸で、副交感神経が優位にする
自律神経を自らコントロールできる唯一の手段
深呼吸は、自らの意思で自律神経をコントロールできる唯一の手段です。そこで交感神経優位の状態から、副交感神経優位の状態に変える呼吸法をお伝えします。
ポイントは、息を吸う時間と吐く時間の比率を1:2となるようにして、深呼吸すること。たとえば、3秒かけて息を吸ったら、6秒かけて息を吐きます。息を吐くときはゆっくり静かに、背の空気を外に出していくイメージで行います。
口ではなく、鼻で呼吸することも大切です。鼻呼吸だと気道で加湿、加温された空気が肺に届きますが、口呼吸だは加湿、加温の程度が小さく、背に負担をかけてしまいます。
鼻毛や鼻粘膜の粘液、線毛が、ホコリ、細菌、ウイルスなどの体内侵入を防ぐのも鼻呼吸のメリットです。一方、口内を乾燥させる口呼吸は、口腔疾患や感染症などなる李syクを高めます。
基本的に呼吸は無意識に行っているので、常に1:2の呼吸を保つの難しいでしょう。忙しく仕事をしているときや、ストレスに晒されているとき、1:2の深呼吸を意識的に行うことが大切です。深呼吸は心を落ち着かせる効果があるので、抗うつ作用が認められるという研究もあります。
ミスが起きやすい単純作業の合間、心を落ち着かせたいプレゼンの直前などでも、1:2の深呼吸は有効です。
以上のように、まず、適度な運動と深呼吸を日常生活の習慣に取り入れることをおすすめします。