筋トレか、ストレッチか
ちょっとやそっとではビクともしない頑丈でしなやかな身体をつくるには、ストレッチと筋トレが必要です。この2つを習慣にしていれば、きれいなS字の脊柱でいられます。それが理想ですが、何かきっかけにS字が崩れてしまったとき、身体をもう一度頑丈でしなやかにするにはどうしたらよいでしょうか。
筋トレが先なのか、ストレッチが先なのか。この順番は実に大切です。
この話を「傾いた塔」のたとえとして説明します。鉄塔でも何でもいいので、何か高い塔を思い浮かべてください。例えば重いものを持ったりして、腰を痛めてしまったとしましょう。痛みのある方は痛みから逃げるために、身体を痛くない方に傾けます。これは塔でいえば、地震が発生して少し傾いてしまったというところです。
次にまた地震が起きたら倒れてしまうかもしれません。どのように修復したらよいでしょうか。修復方法は2つです。既存のまま補強するか、傾きそのものをもとに戻すか、どちらかです。
筋トレは何かというと、塔が傾いた状態のままで、梁を入れるとか、コンクリートで側面を固めるとかして、補強することです。傾いた状態は変わっていません。筋トレにより筋力が増えれば、傾いた姿勢を前よりも長く保持することができるので、痛みが出るのを遅らせることができます。ずっと筋トレを続けていればいいのですが、それ止めるとどうでしょうか。
普通に座ったり立ったりしているだけでも、常に倒れる方向にストレスは加わり続けているのですから、筋力を使いきったら痛みが出るだけでなく、傾きがさらに増す可能性があります。そういう意味では、筋トレは根治ではなく一時しのぎの対症療法(根本を治すのではなく、いまある症状だけを取り除く治療法)といえます。
ストレッチとは何かというと、塔の傾きをそのものを直すことです。つまり根治療法(根本から治す治療法)です。基礎工事からしっかりやり直して、まっすぐにしたのと同じです。可動域を改善し、傾いた骨格をまっすぐにして、S字を取り戻すわけです。傾きを治してしまえば、普通に座ったり立ったりしているだけではストレスはかからなくなります。
ストレッチが先か筋トレが先かとは、こう説明するとはっきりします。根本的な問題であるS字を、まずはしっかり作りましょう。その上で筋トレにより補強すれば、これまで以上に頑丈でしなやか身体を手をに入れることができます。もちろん両方を同時にできる意志力の強い方は、はじめから並行してやればなお良しです。