老化に歯止め!

年をとると身長が縮みます。背骨の間にある椎間板の水分量が減って潰れていくためです。これは老化による変化のひとつですが、抑える方法があります。それは、姿勢を変えることです。動かすことなのです。
 椎間板は、圧迫と弛緩という2種類の刺激を与えることで、水が出入りしていて、栄養分が入ったり、老廃物が出たりしています。圧迫というのは、椎間板に重力がかかったり、運動によって荷重がかかったときで、水が外に出ます。弛緩というのは、寝ていたり、圧迫がなくなったときで、水が中に入ります。
 例えば、前かがみで座っていたら、椎間板の前が潰れますから、前に含まれた水が染み出します。椎間板の後ろは解放されていますから、逆に水が入ってきます。そのまま同じ姿勢をしていては、前には栄誉が入っていかないので、そのまま劣化してしまいます。そのため、ここでも「逆」の反る動きが必要になってきます。
 反ると椎間板の後ろが潰れて、前が解放されますから、前に栄養が補充されます。このように交互に動かすという刺激で椎間板はその性状を維持することができます。何気なくしゃべったり、笑ったり、立ったり、座ったり、歩いたり、軽いゲームをしたりするときの曲げたり反ったり、寝たり起きたりという反復した動きが、椎間板を健康にしているのです。
 これは、関節の軟骨でも同じです。軟骨も圧迫・弛緩、前・後、左・右など交互に動かすことで栄養が与えられたり、老廃物を除去したりして性状を維持しています。
 骨自体も刺激がないとスカスカになります。無重力状態の宇宙空間で過ごしてきた宇宙飛行士は、帰還してくると骨粗鬆症になっているとといいます。荷重刺激がないと、骨もダメになってしまいます。立って、歩いてと適度のに骨に荷重刺激を与えなければいけません。しかし、ねこ背のままなど、同じ姿勢で荷重刺激を与えていては、背骨は前ばかり圧迫され続けるので逆に潰れていきます。圧迫骨折です。
 年をとって元気な人は、だいたい姿勢がいいです。少なくとも人の前では良い姿勢です。ですが、それだけで過ごしていたら身体に悪いことはもうお分かりかと思います。おそらく家に帰ったら、大いに楽な姿勢になってリラックスされているはずです。
 姿勢の良い人は長生きをします。姿勢が悪くなって背骨が曲がれば曲がるほど、転倒のリスクが高くなるというデータがあります。長生きできる人とできない人の差は、ガンなどの病気を除いて考えたら、転んでいるか、転んでいないかなのです。
 転んで骨折すると、そのまま寝たきりになってしまう方もいますし、回復されたとしても、以前のように1日に8000歩は歩けなくなる方が多いです。そうすると、動脈硬化や糖尿病になったりして、他の病気の合併症が起こりやすくなります。
 いかに転ばないで、骨折しないか。それが長生きの秘訣となります。そのためにはやはり同じ姿勢を取り続けない、姿勢を変えることが大事なのです。