ウォーキングのすすめ
コロナ禍でリモートワークが増え、椅子に座りっぱなしだとか、動くことが少なくなったために身体が硬くなったと感じている人は、仕事の合間にでも、立ち上がる時間、少しでも歩く時間を作りましょう。少しの時間でも積り積もれば身体によい影響を与えます。
椅子に座るという同一姿勢は、血管を圧迫し続け、血流が滞ります。椎間板や関節の軟骨も動かさないでいると、栄養が補給されずに劣化していきます。まずは立ちあがるだけでもいいですから、姿勢を変えましょう。
前傾して丸くなって仕事をしている人は、反りを入れる。身体を大きく伸ばして反る体操をしましょう。良い姿勢でずっとパソコンに向かっていた人は、逆にしゃがんで背中を丸めたりして曲がる体操をしましょう。逆の姿勢をとることが治療になります。
次は「歩く」です。歩くという運動は全身運動で、有酸素運動です。滞っていた血流は改善し、硬くなっていた身体はほぐれていきます。また左右交互に動かす運動でもありますから、一部に偏ることなく、ストレスを流すことができます。
そして、一歩一歩、歩くたびに上下に重心が移動する運動でもあり、椎間板や関節の軟骨には圧縮、離開の運動が繰り返されます。その刺激により栄養補給と老廃物の排泄が行われるため、代謝がよくなり劣化を抑えます。
日本では、歩行に関して次のような報告が出ています。
一日8000歩。そしていきが弾むような早歩きを20分間。それを習慣づけると、糖尿病にもならない、高血圧にもならない、がんも予防できる。
これは、群馬県中之条町で、65歳以上の高齢者5000人を対象に、13年間にわたって詳細なアンケート調査をしてきて得た、ウォーキングに関する貴重な結果です。報告では、次のようなポイントが指摘されています。
一日の中で体温がピークを迎える夕方に早歩きをし、最高体温をさらに上昇させるのが望ましい。起床後1時間以内、就寝前1時間以内は、早歩きは避けたほうがよい。健脚自慢の人は歩きすぎに注意すること。「8000歩、20分」を超えて歩いても、健康効果に大差はない。むしろ歩きすぎで疲労が溜まると免疫力が下がり、病気になりやすい。とのことです。
厚生労働省発表の数字でいうと、おおむね20代から50代の男性は8000歩、女性は7000歩、60代の男性は7000歩、女性は6000歩、70代になると男性5500歩、女性は4500歩というところが一日に歩く平均になっています。
みなさんは比べてみてはいかがですか。歩数計をつけてない人は人つけることをおすすめします。最近ではスマホや腕時計に歩数計の機能がついているものが多いので利用してみましょう。
一週間の平均で見たときに一日の歩数が自分の年代の平均に達していない方は筋力が落ちています。そういう方は、ときどきお出かけしたときに8000歩くらい歩いたり、普段と少し違うことをするとどっと疲れます。身に覚えがある方は要注意です。
筋トレをしていれば筋力を維持することはできますが、それを維持するのはなかなか難しいものです。しかし、歩く歩数を確保できれば筋力が落ちるのを最低限に防ぐことはできます。まず世代の平均をめざし、それができたら一日8000歩をめざしましょう。
歩行をおすすめするのには他にも理由があります。歩いているときは動いていますから、同じ姿勢をしていません。つまり歩数が少ない人は、同じ姿勢をしている時間が多くなるということになります。逆に歩数の多い人は、同じ姿勢をしている時間が少なくなるということです。歩数が増えれば、ストレスを軽減することができます。
また、骨も年齢とともに痩せていきます。女性の場合は、閉経後に女性ホルモンのエストロゲンが減少することで骨が壊されやすくなります。そのため、骨粗鬆症に関しては、ある程度防ぎようがないところがあります。薬による治療が第一となりますが、自分で予防するためにできることは、やはりウォーキングです。骨をつくるために必要なことは、荷重刺激を与えること、日光に当たってビタミンⅮの合成を促すことです。
1日30分程度、日光に当たることが推奨されています。つまり、ウォーキングは骨粗鬆症の予防にも効果的です。
デスクワーク、リモートワークで身体が硬くなった、肩、首、腰が疲れたと感じる人にはウォーキングをおすすめします。