普段使わない部位は硬くなる。

痛みのない身体を維持するには、「同じ姿勢を取り続けないこと」、「筋肉や関節を柔らかくすること」が大切です。それには身体全体を「動かすこと」「使うこと」です。

つまり関節を最大限に動かすことが大事なのです。

 頭を洗うにしても、洗濯物を干すにしても、つり革につかまるにしても、腕を顔の前までは上げますが、耳の横までいっぱいに上げません。日常生活では、まずそこまでの動きは必要ないからです。耳の横まで腕を上げたとき、言い換えると可動域いっぱいまで動かしたとき、はじめて筋肉はストレッチされます。筋肉は硬くなります。そういうものなのです。日常生活で可動域いっぱいまでうごかさなくても済んでしまう部位が硬くなってしまうのです。

 硬くなりやすい部位でいうと、やはりハムストリングスです。太ももの裏の筋肉です。足元のものを拾ったり、靴紐を結んだりするときに、大体は膝を曲げます。立った状態で膝を完全に伸ばしたまま手を地面に向かって下げていけば、ハムストリングスはストレッチされるのですが、膝を曲げたほうが楽なので、どうしてもそういう動きはしません。

 また日常生活では、前にかがむことが多く、後ろに反るという運動が足りません。腰椎、胸椎を進展させる方向が少ないため、体幹の面側の筋肉が硬くなります。首もそうです。下を向くことは多いのですが、後ろに大きく反らせて真上を見ることは少ないのです。

つまり、「反る」ことが足りないので前の筋肉が硬くなる、柔軟性が低下する、さらに反りづらくなる、反らなくなる、という悪循環に陥ります。これが日常生活の問題点なのです。

 昼間の生活で柔軟性を失うと、夜寝るときにまで影響が及んできます。身体の硬さが邪魔をして寝返りが打ちづらくなるのです。普通は同じ姿勢を避けるため無意識に一晩に数十回の寝返りを打ちます。しかし、身体の硬い人は一桁しか寝返りを打たない人もいます。寝ている間に「動かなすぎ」となるため、健康状態に影響が出てきます。

 夜中に痛みで目がさめたり、寝ていても身体がこわばっていたり、朝起きたときに首や腰などの関節が痛みます。さらには睡眠の質の低下、睡眠不足にもなるため、日中の仕事や家事にも影響してきます。

今日から寝る前に、両腕をいっぱいに上げて、腰、背中、首を後ろにゆっくり反らせて5秒間、前に屈めて5秒間、これを2~3回繰り返してみてください。

※頚椎、胸椎、腰椎を痛めている人はやめてください。