座りっぱなしは、寿命を縮める。

最近の研究では、長時間座りっぱなしで動かない状態を「セデンタリーライフスタイル」と呼んで、それ自体が健康を害するという警告が各方面から伝えられています。

世界20カ国の座る生活を比較した調査があります。平日の総座位時間は、日本は最長でした。420分でサウジアラビアと並んでいます。

オフィスで座りっぱなしで仕事をしたり、休日にテレビの前にずっと座っていると、大体腰が痛くなり、肩、首、背中がパンパンに張ってきます。こういった自覚症状はどなたでもあるものですが、身体の内部では、それ以外にもよくないことが進行しているのです。

アメリカのガン協会の疫学者は12万人を超えるアメリカ人について1日に座る時間の長さと健康への影響を調べました。結果、座る時間が1日6時間以上の男性は、3時間以下の男性と比較して15年以内の死亡率が20%高く、女性の場合は40%高いと述べています。

シドニー大学では、45歳以上の22万人を超えるオーストラリア人について、3年間の追跡調査を行い、その結果、次のことが明らかになりました。1日11時間座っている人は、それ以外の時間にどれほど身体を動かしていようと、4時間未満の人に比べて、3年以内に死亡するリスクが40%以上高まる。また8時間から11時間でも、1日4時間未満に比べて15%高まる。ということです。

またこんな報告もあります。座ってテレビを1日6時間見る人と、全く見ない人を比較したところ、まったく見ない人の方が4年8カ月長生きする。これはオーストラリアの国民調査によるデータの分析結果ですが、じっと座って1時間テレビを見ることで、寿命が約22分縮んでいる計算になります。

座り続けると起こる悪循環についてこんな報告もあります。

長時間座ると、下半身の筋肉は動いていない。血流速度が低下して全身の血行が悪くなる。すると、筋肉が働くときに栄養を消費する代謝機能が低下する。そうなれば、血液中の糖や中性脂肪が消費されにくくなる。そ

それが長く続くことで糖尿病などの病気になる。レスター大学の研究者は、座っている時間を1日90分短くすれば、糖尿病が防げるかもしれないと述べています。

また長時間座ることへの影響として、次のようなものが挙げられています。

●脂肪を分解する酵素が減少する。

●インスリン値が下がる。

●善玉コレステロールが減少する。

●血圧が上がる。

●脳の血栓ができやすくなる。

いかがでしょうか。「動かなすぎ」の代償はあまりにも大きく、残酷な事実を私たちに突き付けています。「姿勢を変える」「身体を動かす」ただそれだけで「身体も変わる」ということです。簡単ですから、今日から取り組んでみてください。